アトリエウチノが大切にしていること
7月9日に東京・上野桜木にオープンしてから、あっという間に2週間が経とうとしています。
人気の谷根千エリアからほど近いということもあり、ありがたいことに暑い中皆様に日々ふらっとお立ち寄りいただいております。
本日は、当店が作品を選ぶ際に大切にしていることを少しお話ししたいと思います。
流行に左右されないアナログ表現
近年国内でもアートバブルの動きがあり、単に美術館で鑑賞するだけでなく、作品を購入するという感覚が以前にも増して浸透してきているように感じます。
もちろん時と共にアートのトレンドは変化し、今と昔で値段が大きく変わる(良くも悪くも)ということも少なくありません。
実際、私も10年ほど前に都内のギャラリーで見かけた手頃な価格の作品が、今やオークションで桁が違う金額で落札されているのを見ることもよくあり、そのたびに苦虫を噛んでおります。
流行を追いかけ、時代の先を見ることは、もちろん美術との重要な関わり方のひとつです。
ただ、当店ではどちらかというとその真逆とは言わないまでも、もう少しブレーキをかけた、「永く共に暮らす」というゆったり感を味わえる作品をご紹介したいと思っています。
すべての作品に共通すること、それは「作家の手が感じられるアナログ表現、時代を超えて受け継がれていく美」です。
“現代アート”という言葉がありますが、いつの時代にも、作られたその当時は“現代アート”だった訳です。
「現代」が終わり、淘汰されずに「未来」に残っていくもの、そこがアートの真価を問われる部分でもあります。
美術作品とアンティークが共存する空間
当店にお立ち寄りくださったお客様は、ショーケースの中で現代作家のオブジェと、経年でボロボロになったアンティーク絵画が隣同士になっていることによく驚かれます。
そして口を揃えて「意外と相性が良い」と仰り、実はそのたびに心の中でニヤリとしております。
現代アーティスト、有名な巨匠作家、アンティーク・ヴィンテージ品などをあえて区別せず、技法や年代にとらわれないボーダーレスなディスプレイにすると、ご自宅などの生活空間に取り入れた際のイメージをしやすいのでは、という考えがございます。
アートのセレクトショップ
ともすると今のデジタル社会に逆行するかのようなラインナップかもしれません。
けれども作家の手業の感じられる美術品には、デジタルには敵わない力があると信じています。
作品があるだけで空間がガラッと変わる、そんな提案を微力ながらお客様おひとりおひとりにお伝えしたいという想いで、ひとつの統一感を持ったアートのセレクトショップのようなギャラリーをオープンいたしました。
琴線に触れる一点を見つけに、どうぞご来廊くださいませ。