マルク・シャガール「『死せる魂』より 税関吏チーチコフ」
詳細
作家:マルク・シャガール
作品名:『死せる魂』より 税関吏チーチコフ
年代:1948年
技法:エッチング ed.368
イメージサイズ:21.1×27.6cm
額サイズ:37.9×44.3×2.5cm
サイン:版上有
プライス:お問い合わせください
作品について
ロシア出身・フランスで活躍し「色彩の魔術師」と称された巨匠・シャガールによる、エッチング作品です。
1923年、シャガールは画商ヴォラールより挿画本制作の依頼を受け、滞在していたベルリンからパリに渡ります。
画家は、母国ロシアの文豪ニコライ・ゴーゴリの長編叙事詩『死せる魂』を題材に選び、依頼から4年後の1927年に全96点のエッチングを完成、1932年にはテキストの校正を終え、刊行を待つばかりとなりました。
しかし、挿画本の細かな仕上がりを練りに練る最中、1939年にヴォラールが死去、その後戦争が勃発する事態となり、最終的に出版に至るのは戦後1948年のことでした。
『死せる魂』は、詐欺師チーチコフが主人公の人間劇。
死亡した農奴の人頭税を支払う義務があった当時、地主たちはなんとか納税から逃れる術を模索していました。
チーチコフはそこに目を付け、戸籍上では生きていることになっている死んだ農奴(「魂」と呼ばれる)を安値で買い漁り、これを抵当に中央政府から金を借りて騙し取ろうと画策します。
傲慢や無知、強欲など、様々な人間の内面をあぶり出す、痛烈な風刺の物語です。
最終章で語られる、詐欺師になる前に税関吏の職に付いていたというチーチコフの出自を描いたシーン。
チーチコフは婦人の手荷物を指さし、何やら問いただしています。
社会批判をベースにした内容でありながらも、ロシアの風景や植物などの描写、人物たちの表情には、故郷に対するシャガールの温かな眼差しを感じます。
美しい装飾模様のある幅2cm程のゴールドの額に入っております。
シャガールのネームプレートが付いた、高級感のある仕上がりです。
画面左下には、画家の版上サインが淡いタッチで刻まれています。
シートには経年による僅かなヤケが見られますが、額装した状態ではほぼ気にならない程度かと思われます。
古い作品の持つ味わいとして、予めご理解くださいませ。
シャガールが手掛けた初の本格的な挿画本からのとても希少な一作。
銅版画ならではの緻密な描き込みも見ごたえがあります。