猪熊弦一郎「『FACES』より スケッチブック 4」

詳細
作家:猪熊弦一郎
作品名:『FACES』より スケッチブック 4
年代:1992年
技法:オフセット ed.1000
イメージサイズ:41×32cm
額サイズ:47.1×38.1×2.5cm
サイン:版上有
プライス:Sold Out
作品について
香川県出身、20世紀日本を代表する画家、猪熊弦一郎。
東京美術学校で藤島武二に学んだ後、1938年に渡仏、その後ニューヨーク、ハワイ、日本と活動の拠点を移しながら生涯制作を続けました。
マティスやピカソ、藤田嗣治ら名だたるアーティストたちとの交流に刺激を受け、画風は一つに留まることなく度々変化します。
人物の顔や動物、建造物、抽象形態など、様々なモチーフと向き合う中、創作の根底には一貫して「絵として美しいもの」を描こうとする意図があったと言います。
画業中期では幾何形体などの抽象的要素を構成した作品を多く手掛けていましたが、妻を亡くしたことをきっかけに、晩年の画面には突如「顔」が登場するようになります。
最愛の妻を想い描き始めたシリーズは、次第に目、鼻、口といった要素の造形的な面白さに着目するようになり、独創的な作品が次々と誕生していきました。
こちらは猪熊が世を去る前年、満90歳を記念して出版された画集『FACES』に収録された一枚です。
膨大な数のスケッチブックの中から、1988年に描かれた一冊を画家自ら選び、高度な印刷技術によって裏面の年記やサインに至るまでオリジナルと寸分違わず再現した、1000部限定の作品となっております。
個性とユーモアに満ち溢れた、たくさんの顔。
楽し気な話し声が聴こえてきそうな生き生きとした描写の中に、ピンクと水色を画面上に散りばめる色彩構成への関心を読み取ることのできる絵柄です。
シンプルな白木の額を合わせました。
シート裏面の刷りは、裏板の窓を開けて見えるようになっています。
サインや年記だけでなく、自画像と思われる人物の横顔のドローイングが添えられているのも見どころです。
版面数か所には、よく見るとわずかなシミがございます。
展示する上でほとんど気にならない程度と思われますが、古い作品の持つ特性として予めご了承くださいませ。
遊び心のあるユニークな絵柄は、飾る空間を明るく心地良い雰囲気に演出してくれることでしょう。