2024-06-01

ランブール兄弟、ジャン・コロンブ「『ヴェルヴ no.7』より ベリー公のいとも豪華なる時祷書・暦 9月」

ランブール兄弟、ジャン・コロンブ ヴェルヴ ベリー公のいとも豪華なる時祷書・暦 9月

詳細

種別:アンティーク

作家:ランブール兄弟、ジャン・コロンブ

作品名:『ヴェルヴ no.7』より ベリー公のいとも豪華なる時祷書・暦 9月

年代:1940年

技法:ヘリオグラビュール

印刷:Draeger Freres

イメージサイズ:22×13.6cm

額サイズ:44.8×35.8×2.7cm

サイン:無

プライス:Sold Out

作品について

「ベリー公のいとも豪華なる時祷書(LES TRÈS RICHES HEURES DU DUC DE BERRY)」について

中世フランス王国の王族、ベリー公ジャン一世が作らせた装飾写本(※1)です。

美術品の収集家としても名を馳せたベリー公は、生涯に複数の写本制作を命じました。

中でも本書は、国際ゴシック様式を代表する傑作として歴史に刻まれています。

1409年、フランドル出身の装飾写本画家・ランブール兄弟(ポル、ジャン、エルマン)によって着手されましたが、ベリー公のみならずランブール兄弟までもが死去したため一度制作が中断、15世紀後半にフランスの画家ジャン・コロンブの手で完成されたと言われています。

「ベリー公のいとも豪華なる時祷書(※2)」では、キリスト教にまつわる事柄に加え、12か月の人々の行動を示す月暦画や、黄道十二宮・解剖図などが収められており、いずれも類まれなる細密描写と彩色の世界が広がります。

(※1) 装飾写本とは

主に宗教関連の書物において、手書きの文字に金彩や細密描写による美しい装飾が添えられたもののこと。

(※2) 時祷書とは

キリスト教信徒が日々の祈りに用いる祈祷文、聖歌、典礼文などを収めた聖務日課書。

14世紀末から15世紀にかけて、華麗な挿画を伴う美術的価値の高いものが多く制作されました。

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『ヴェルヴ no.7』について

今回ご紹介するのは、美術雑誌『ヴェルヴ(VERVE)』に収められた、月暦画を描いた12点の復刻版の内の一点です。

フランスの美術評論家・編集者のテリアードが監修し、ピカソやシャガール、マティスら当時活躍していた芸術家たちの版画作品を収録した『ヴェルヴ』は、今も多くの美術愛好家に親しまれています。

同時代の美術だけでなく、古き中世の装飾写本にも魅了されたテリアードは、本誌の『7号』において、「ベリー公のいとも豪華なる時祷書」の高品質の版画化を試みました。

時祷書が収蔵されているコンデ美術館の学芸員アンリ・マロの協力のもと、1939年に制作が開始され、1940年に世界初の原画と同じサイズでの刊行を遂げます。

15世紀の画家たちが用いたゴールドやラピスラズリなどの発色を復刻するのは当初不可能かと思われましたが、多大な試行錯誤の末、写真製版を用いた銅版画技術「ヘリオグラビュール」によって、緻密な描写と鮮やかな色彩が見事に再現されたのでした。

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「9月 ソミュール城」

川沿いの小高い丘に建つソミュール城。

塔の上はフランス王家のシンボルとして知られるフルール・ド・リス(アヤメの花を図案化した紋章)で彩られ、煙突のある棟は厨房の位置を示しています。

かつてよりワインの産地として名高いソミュール地区。

原料となるブドウを収穫する農民たちの姿が、細やかに映し出された絵柄です。

本作の画面構成はランブール兄弟、前景の彩色はジャン・コロンブの手によるもの。

上部の半円部分には、9月の星座が描かれています。

美しい模様のある幅4cm程のゴールドとモスグリーンの額に、ベージュのマットを合わせました。

アートコレクションとしてはもちろん、誕生日・記念日の贈り物にもおすすめです。

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